はじめに・ご挨拶
はじめまして。堤 卓也 [ツツミ/タクヤ]と申します。京都で漆の精製と販売をしています。つまり平たく言うと漆屋さん。その、四代目です。
生活スタイルの変化に伴い漆の器や茶道具、仏壇の需要が減り、漆の流通量は急激に減少しています。
1990年頃に 300t以上あった漆の流通量は2018年には 36tになっています。そのうち日本産漆は年間 1.8t、およそ 5 %です。2015年に、文化庁が『重要文化財などの修復には日本産漆だけを使用するべし』と通告し、日本各地で漆の植栽に乗り出しましたが、文化財修復のためばかりに漆が使用されても、漆文化を守ることにはなりません。
そもそも日本産漆の生産がこれほど落ち込んだ背景には、近代化に伴い、里山に暮らす人々の高齢化が進み、森や山に人の手が入らなくなったことが挙げられます。今、わたしたちは95%の漆を中国からの輸入品に頼っていますが、都市型の生活が志向され、山村で高齢化が進んできているのは、中国でも同じことです。