はじめに・ご挨拶
はじめまして、マジシャンの上口龍生(かみぐちりゅうせい)と申します。普段はマジックバーのオーナーとしてテーブル(クロースアップ)マジック、またイベント等ではステージマジックを演じております。その一方では後進の指導、演出、レクチャーDVDの作成や執筆活動も行っています。
マジックも音楽や演劇などと同じく、様々なジャンルがあります。その中でも世界的に認められながらもマイナーなマジックのジャンルがあります。それが和妻(わづま)です。私は約25年前にこの和妻でプロデビューしました。しかしエンターテイメント業界の需要にこたえるべく、様々なマジックのジャンルを習得するに至り、和妻よりもむしろ一般的なマジックで生計を立てていくようになったのです。和妻の需要は仕事のうち一割程度でしょうか。私は充分それで満足しておりました。
しかし2020年の新型コロナの流行に伴い、考えが変わりました。今まで当たり前だったことがそうではなくなったのです。私自身も50歳を過ぎ、今が全盛期もしくは下降期に入ってきたことを実感せざるを得なくなりました。このまま私の持っているマジックの経験や技術が受け継がれることもなく、消え去っていくことが果たしてマジック界にとって良いのだろうか?と考えるようになりました。