はじめに
家族の一員として大切に生きる犬達がいる一方で、捨てられる犬達もあとを断ちません。放り出された犬達はお腹を空かせて餓死するか、保健所に引き取られ、大半は殺処分の対象になります。そんな犬達を救おうと懸命に努力している人々や団体は全国にあります。ですが、そうした人達と団体の数よりも、日々、捨てられる犬達の数が多い地域も多くあるのが現状です。一方で、グループの作り方も団体に属することも苦手でわからない、でも犬を救いたいと一人で動く個人の方も存在しています。私たちが出逢った葛城久雄さんは、長崎県佐世保市で、たった一人で多くの捨て犬を保護して来た人です。葛城さんの夢は、犬達の殺処分をゼロにすることです。過去20年間、葛城さんは虐待されている犬を引き取り、自宅と所有している小さな山で捨てられた犬を保護して来ました。お金の許す限り、餌を与え、避妊手術代や狂犬病ワクチン代、病気の犬をすべて自費で治療して来ました。行きつけの獣医さんを除いては誰にも相談せず、一人で解決しようと戦い続けてきました。家のすべての壁を壊し、自宅を犬に捧げてきました。