ご挨拶
はじめに
映画「ひとくず」は、発達障害をテーマにした「ヌーのコインロッカーは使用禁止」という作品をつくるにあたり、本作の監督・脚本・主演をつとめた上西雄大が、精神科医であり児童相談所の嘱託医をされている楠部知子先生に、取材をしたことがきっかけで生まれました。
楠部先生から「虐待について知っていますか?」「アイロンのやけどの跡をつけられた子どもが、たくさんいるんですよ。」と虐待の現実について話しを聞いた上西は、大きな衝撃をうけ、心のおきどころを失い、救いをもとめるかのごとく、一晩で脚本を書きあげました。
そして、虐待は、虐待を受ける子どもが苦しんでいるだけでなく、虐待をしている親も苦しんでいること、そして、社会が関心をもつことが虐待の最大の抑止になるとの思いにたち、映画「ひとくず」を完成させました。
「虐待」を入口においた映画ですが、描いているのは、人の心のあたたかさ、家族のあたたかさであり、また人間の心の中にある良心です。「劇場をでるときには、あたたかな気持ちになってほしい」そして、「一人でも多くの人に虐待について関心をもってもらいたい」そんな思いが詰まった作品です。