はじめに・ご挨拶
当プロジェクトをご覧いただき、ありがとうございます。私たちは、九州を拠点に、戦後生まれた前衛美術集団「九州派」を広める活動をしています。1950年代から60年代にかけて反芸術がうたわれ、日本各地で「具体美術」「ネオ・ダダ」「もの派」などの前衛美術集団が誕生しました。前述の美術集団の名称を聞いたり、作品を見たりした方もいらっしゃるかと思いますが、「九州派」という集団や作家、作品をご存じの方はどれほどいらっしゃるでしょうか。「具体美術」「ネオ・ダダ」「もの派」に比べ認知度が高いと言えない「九州派」ですが、当時「九州派が日本の現代アートの先頭を走っている」と言った有識者もおり、日本における現代美術に「九州派」が与えた影響は大きいと考えています。特に「九州派」の実質的リーダー、桜井孝身は哲学を「九州派」の活動のフレームワークと位置づけ実証しました。
「芸術は哲学の唯一真にして永遠なる道具にしてかつ証書である」(フリードリヒ・シェリング)といわれるほどに「芸術は哲学になった」という言葉は今では自明のものになっています。私たちは、「九州派」の実質的リーダーであった「桜井孝身の九州派」を手掛かりに、「九州派」の本質を探ると共に、桜井孝身が生涯をかけて追いかけていた芸術とは何であったかの探究をしたいと思います。また、そこから生まれた櫻井共和へ繋がる現代美術の道も再確認出来ればと考えております。