1.はじめに
「展示映像」とは博覧会、展示会等のイベントや、博物館、企業のショールーム等のために制作・上映された特殊な映像のコンテンツやシステムの総称です。コンサートのステージ映像、プロジェクションマッピング、野球場の大型ビジョンなどは、いちどは見たことがあるでしょう。私たち一般社団法人展示映像総合アーカイブセンターは、九州大学芸術工学研究院と協働し、これらの特殊な映像を将来に残す活動を進めています。 展示映像は総合的・組織的にアーカイブされることがなく、廃棄や散逸の危機的な状況にあります。展示映像の多くは保存の状況は共有されず、実態は明らかでなく、再現することもできません。貴重な映像遺産の消失一刻も早くとめ、後世に残す。これが本プロジェクトです。
2.このプロジェクトの目的
一過性のイベントでも使われる「展示映像」は、映画のような標準仕様がなくシステムや表現の特殊性ゆえにほとんど残されません。同時代の最高のスタッフや先端技術を使ったこの映像は、映像表現、撮影や上映技術、音響デザイン、建築・空間デザインなど多様な側面で構成されています。本プロジェクトはこれらの映像の廃棄・散逸を防ぎ、映画に比肩する映像遺産として後世に残すために、コンテンツと関連資料を総合的にアーカイブすることを目的とします。保存した作品は、何らかの方法で再現可能な活用をめざし社会に還元していきます。 本プロジェクトはこの目的のために、展示映像作品の現況調査、収集(寄贈、寄託、買取り等)、保存・管理、疑似的再現、二次利用の検討、著作権等の確認などの関連活動を推進していきます。