水中や海中、水辺に暮らすさまざまな生き物を題材として、現在では層に重ねた日本画の画材を彫って描く作品づくりをしています。以前はボールペンを使ってペン画を描いていた時期もあったのですが、沖縄の海で海洋ゴミの問題に直面してから、日常生活を含めて自分の活動で極力ゴミを出さないよう、また資源をムダにしないようにと思うようになりました。
日本画では、岩や土、貝殻などを原料とする水干絵具という自然顔料が使われます。色をつくる際に加えるのは、ニカワ(動物の皮や骨に含まれるたんぱく質)や胡粉(ごふん:貝殻から作られた日本画の白色絵具)といって、やはり自然な原料です。これらとペン画を融合させたらどうだろう?と試行錯誤の結果たどり着いたのが、水干絵具を彫って削り、白い線画を描き出すミクストメディアという現在の表現方法になります。
海洋ゴミには、漁で使われるプラスチック製の「浮き玉(ブイ)」も大量に打ち上げられています。これはそのままでは産業廃棄物となり、回収後の処分に困っていると伺いました。そこで、微力ながら私も浮き玉を回収し、球体を惑星になぞらえて海や生き物を描くことで、廃棄物をよみがえらせるアップサイクルアートとしても創作しています。ミクストメディアの作品含め、これらの作品がお客様の手にわたることで世界の海の現実が伝わり、海洋ゴミの処分に困っている方々のお手伝いにもつながっていく。その結果として少しでも環境改善の一助になれたらと思うのです