実施理由/背景
歴史的な文化遺産を、未来に残したい。
日野宿本陣は、元治元年(1864)に完成した名主・佐藤家の屋敷です。都内に唯一残る本陣建物であり、貴重な歴史遺産です。また、敷地内には当主の佐藤彦五郎が開いた天然理心流の剣術道場があり、土方歳三、井上源三郎、近藤勇、沖田総司らが稽古に通い、やがて彼らは京都に旅立ち新選組を結成しました。日野宿本陣は新選組の原点だったとも言えます。このような日野宿本陣は、東京都と日野市の文化財に指定され、「新選組のふるさと日野」のランドマークになっています。日野宿本陣の建物と敷地は、平成16年に日野市の所有になりました。建物保存のための補修は未だ行っていませんが、多くの見学者が訪れ、街道の歴史や、新選組の足跡に触れています。しかし近年、台風はますます大型化し、巨大地震の発生も懸念されています。これまでは大丈夫でも、これからも絶対大丈夫とは言えません。もしも巨大災害によって日野宿本陣が大きな被害を受けたならば、それは、日本史のうえでも、新選組を語るうえでも、大きな損失です。隊士たちの魂が帰る場所を失い、日野市民は心に深い傷を負うことになるでしょう。もうこれ以上、手立てを講じないわけにはいきません。